第6回 システムの全体最適化に繋がる論理アーキテクチャ定義
【第6回MBSE<モデルベース・システムズエンジニアリング>コラム】
一般社団法人JCOSE(Japan Council on Systems Engineering)※では、「システムズエンジニアリングとは、システムを成功させるための、複数の専門分野にまたがるアプローチと手段のことを指します。」と定義しています。
※一般社団法人JCOSE(https://www.jcose.org/)は、INCOSEの日本支部として、システムズエンジニアリングを日本に普及させることを目的としている団体です。
システムズエンジニアリング、MBSE(モデルベース・システムズエンジニアリング)とは、「システムの企画段階から運用・廃棄に到るまでのライフサイクルを通じて、全ての技術分野の成果を1つのシステムへとインテグレート(統合)する技術」と定義されています。
今回は、論理アーキテクチャ定義の流れについてご紹介します。
システム設計の流れ
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まず、システム設計の流れをおさらいしましょう。
システム要件の定義、ならびに論理構成要素の定義まで実施したら、続いて論理アーキテクチャの作成でシステムの論理的な構造と振る舞いを定義します。その後、物理アーキテクチャの作成を行います。
本講座では、論理アーキテクチャの作成について順序だてて説明します。
論理アーキテクチャとして考えること
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論理アーキテクチャは、要件定義で明らかにしたシステム要求仕様に対し、論理的にどのような機能があればシステムが成立するか記述したものです。
この段階では、品質特性や物理的制約などの非機能要求は一旦排除し、論理的な機能の構造と振る舞いだけを定義します。非機能要求を考慮しない、ある意味で理想的な論理構造を定義することで、システムでやるべきことが明確になります。
そこから次の物理アーキテクチャ設計へと進むことで、どの論理要素をどの物理要素に配置するのが最適であるか検討しやすくなり、その結果、全体最適なシステムアーキテクチャの構築へとつながっていきます。
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論理アーキテクチャ設計の流れ
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論理アーキテクチャ設計の流れは次の通りです。
まず、機能分解と統合によって導出した論理要素に基づき、階層構造の定義を行います。ここではブロック定義図を作成します。さらに、個々の論理要素が責務を果たすために必要な入出力項目を整理し、それらをつなぎ合わせて論理要素間のインタフェースを定義します。ここではブロック定義図に対応した内部ブロック図を作成します。
論理要素の数が多くなるような場合は、論理要素それぞれの責務の特徴から階層を整理し、位置づけを明確にすることで全体の見通しをよくします。
構造の定義を行ったら、続いて論理要素の振る舞いを定義します。振る舞いの記述は、モデリング対象の特徴に合わせて、状態マシン図、アクティビティ図、シーケンス図の中から適切な図を選択して作成します。
また、早い段階でアルゴリズムや実現手段の検討が必要な機能については、この段階で制御構造を定義しておくことで、次の物理設計に対するインプットとします。作成するのはパラメトリック図です。
なお、ここでは作成するSysMLの図を記載していますが、SysMLの図を作成することが目的ではありません。構造、振る舞い、制御のようにこの段階で決めておくべきことがあり、SysMLにはそのための図が整備されているのだという理解が必要です。SysMLよりもやりやすい方法があれば、それに置き換えることに問題はありません。それぞれの工程でSysMLのダイアグラムを作成し、モデルベースでの検討を進めていきます。
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まとめ
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論理アーキテクチャ設計では、システムを成立させるための論理的な構造と振る舞いを定義します。
システムの様々な側面を表現するのに適したSysMLの図を活用し、モデルベースで記述します。
理想的な論理構造と振る舞いを定義することで、次の物理アーキテクチャ設計での機能の最適配置が実施でき、システムの全体最適化につながります。
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