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第5回 SPL開発を適用する現場の能力を評価する2つの指標

SPL
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第5回 SPL開発を適用する現場の能力を評価する2つの指標

【第5回 SPL(SPL開発の成熟度評価)解説 コラム】

SPL開発では、各工程でさまざまな成果物を作成します。
今回のコラムでは、SPL開発の成熟度評価についてご紹介します。

 



はじめに

「Family Evaluation Framework」 「Product Line Technical Probe」
※引用 Eureka Box(ユーリカボックス)【おすすめのプレイリスト】
https://member.eureka-box.com/products/10/categories/2150178948/posts/2158656862

SPL開発を適用している現場の能力を評価する軸として、様々な手法が存在します。ここでは、そのうち「Family Evaluation Framework」と「Product Line Technical Probe」の2つを取り上げ、概要を紹介します。また、エクスモーションが支援したSPL開発の現場を例に、評価を行った具体例を見ていきます。



SPL開発の4つの視点

SPL開発、エンジニア独学 SPL開発の4つの視点
※引用 Eureka Box(ユーリカボックス)【おすすめのプレイリスト】
https://member.eureka-box.com/products/10/categories/2150178948/posts/2158656862

SPL開発は、単にコア資産を作ったりプロセスを定義するだけでは、正しく実施していくことはできません。SPL開発では、

 ・ビジネス
 ・アーキテクチャ
 ・プロセス
 ・組織

の4つの視点のバランスが重要となります。
ビジネス視点では、成し遂げたいゴールを明確化し、SPL開発を意識した製品開発の戦略を定義します。
アーキテクチャ視点では、対象製品群の共通性と可変性を分析し、製品群に含まれる全ての製品を実現できるような設計資産やコードをコア資産の一部として作りこみます。
プロセス視点では、それらコア資産を作りこむために必要な手順やルール、ノウハウを明確化します。
組織視点では、これらビジネス、アーキテクチャ、プロセスの取り組みを理解し、実践できるメンバーを育成します。



Family Evaluation Framework

SPL開発、エンジニア独学 「Family Evaluation Framework」
※引用 Eureka Box(ユーリカボックス)【おすすめのプレイリスト】
https://member.eureka-box.com/products/10/categories/2150178948/posts/2158656862

これら4つの視点が「どのくらいできるようになったか」を評価するための指標に、「Family Evaluation Framework」と呼ばれるフレームワークがあります。基本的にはCMMIと同じものと考えてもらって構いません。
4つの視点それぞれで5段階の活動レベルが定義されており、SPL開発を適用している現場が自分達のレベルを認識し、活動を改善していく際に用いられます。



SPL開発でやるべき事

SPL開発でやるべき事
※引用 Eureka Box(ユーリカボックス)【おすすめのプレイリスト】
https://member.eureka-box.com/products/10/categories/2150178948/posts/2158656862

また、視点のほかに、SPL開発実施のためにやるべき/やらなければならない項目があります。ここではこれらの項目をプラクティス・エリアと呼びます。
SEI(Software Engineering Institute)の「Product Line Technical Probe」という手法では、プラクティス・エリアを、

 ・ソフトウェア工学のプラクティス・エリア
 ・技術マネジメントのプラクティス・エリア
 ・組織マネジメントのプラクティス・エリア

の3つに分類し、体系化しています。
各エリアは更に細かいアクティビティに分解されていて、SPL開発のWBS(Work Breakdown Structure)とも言えます。



Product Line Technical Probe

Product Line Technical Probe
※引用 Eureka Box(ユーリカボックス)【おすすめのプレイリスト】
https://member.eureka-box.com/products/10/categories/2150178948/posts/2158656862

Product Line Technical Probeでは、29のプラクティス・エリアが定義されています。29のプラクティス・エリアは、ソフトウェア工学、技術マネジメント、組織マネジメントの3つに分類されます。
これらをFamily Evaluation Frameworkの視点に対応付けると、ソフトウェア工学の領域は、アーキテクチャ視点の取り組みに対応しています。技術マネジメントの領域は、プロセス視点の取り組みに対応しています。また、組織マネジメントの領域は、ビジネス視点と組織視点の取り組みに対応しています。



評価軸の比較

SPL開発、エンジニア独学 評価軸の比較
※引用 Eureka Box(ユーリカボックス)【おすすめのプレイリスト】
https://member.eureka-box.com/products/10/categories/2150178948/posts/2158656862

SPL開発を適用している現場の能力を評価する軸として2つの手法をご紹介しましたが、これらは、どちらが優れた評価指標という話ではなく、用途に応じて使い分けるとよいでしょう。
例えば、現場のSPL開発の成熟度の大枠を評価したい場合や、現場のSPL開発におけるコンピテンシーを示したい場合は、Family Evaluation Frameworkを参考にし、SPL開発の成熟度を詳細に評価したい場合や、SPL開発の実施項目を一覧化・チェックしたい場合は、Product Line Technical Probeを参考にしてください。



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具体例

SPL開発、 Family Evaluation Frameworkを具体的に適用した例
※引用 Eureka Box(ユーリカボックス)【おすすめのプレイリスト】
https://member.eureka-box.com/products/10/categories/2150178948/posts/2158656862

それでは、Family Evaluation Frameworkを具体的に適用した例を見てみましょう。ご紹介するのは、インバータ制御システムを開発している組織の例です。



導入前の現場の状況

SPL開発、エンジニア独学 導入前の現場の状況
※引用 Eureka Box(ユーリカボックス)【おすすめのプレイリスト】
https://member.eureka-box.com/products/10/categories/2150178948/posts/2158656862

この現場におけるSPL開発導入前の状況はどのようなものだったのでしょうか。要約すれば、全チームで足並みの揃ったSPL開発の全体像が描けていないといった状況でした。4つの視点それぞれを見てみましょう。
まずビジネス領域についての評価です。こちらの現場では経営陣がSPL開発の導入に対して協力的で、今後の開発工数削減のためSPL開発の導入・体制づくりに非常に前向きな姿勢を示していました。
アーキテクチャ(設計資産)領域については、ビジネス領域からのSPL開発移行の指示を受け、今回のSPL開発への移行を機に一から資産を見直そうと考えていました。
続いてプロセス領域については、SPL開発をしっかり学習し、自己流でプロセス定義を進めてはいましたが、バリエーション管理など、プロセスを具体化するところで止まっていました。
最後にオーガニゼーション(組織)については、能力の高いメンバーが集まっており、過去の開発資産の品質も高いものとなっていました。一方で、新しい開発手法を取り入れることに否定的なメンバーが多いという課題もありました。
レベルで言うと、ビジネス領域から順に、レベル3、1、1.5、1.5という状況でした。



取り組みの内容と結果

SPL開発の取り組みの内容と結果
※引用 Eureka Box(ユーリカボックス)【おすすめのプレイリスト】
https://member.eureka-box.com/products/10/categories/2150178948/posts/2158656862

さて、この状況に対してSPL開発のための改革を行いました。
いくつかの取り組みを行った中に、「実装メンバーの仕事の仕方をなるべく変えないプロセスを定義する」というものがありました。これは、開発メンバーが「優秀だが新しい開発手法の取り入れには否定的」という特徴を持っていたためです。
また、アーキテクチャ領域では、「開発初期段階から複数顧客向けの開発資産をコア資産化する」という取り組みも行いました。各顧客向けの各種の開発資産を後から統合してコア資産化するのではなく、最初からコア資産化するというものです。
こういった取り組みの結果、この組織の成熟度は、アーキテクチャ領域がレベル2、プロセス領域がレベル3、オーガニゼーション領域がレベル2へと向上しました。



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まとめ

SPL開発のまとめ、エンジニア独学
※引用 Eureka Box(ユーリカボックス)【おすすめのプレイリスト】
https://member.eureka-box.com/products/10/categories/2150178948/posts/2158656862

今回のコラムでは、現場の能力を評価するための手法の中から、Family Evaluation FrameworkとProduct Line Technical Probeという2つを取り上げてご紹介しました。また、具体的な現場において、Family Evaluation Frameworkを使用した事例をご紹介しました。
SPL開発を実施するにあたっては、自分達が今どのレベルにあるのかを客観的に知ることが重要です。こういった手法を利用して、ご自身の取組みのレベルを把握しましょう。

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株式会社エクスモーション コンサルタント 吉元崇

執筆者プロフィール

株式会社エクスモーション コンサルタント

吉元 崇

専門分野:

自動車、開発プロセス、SPL



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