第1回 正確な要求記述、要求仕様を定義する技法USDMとは。記述サンプルも紹介。
第1回 USDMコラム
USDMとは、“Universal Specification Describing Manner”の略で、正確な要求仕様を定義するための技法。
株式会社システムクリエイツの清水吉男氏が提唱した技法で、製造業をはじめ多くの企業に導入されています。
本コラムはUSDMの基礎から応用までを数回に分けてわかりやすく解説していきます。
USDMとは
USDMは、“Universal Specification Describing Manner”の略で、正確な要求仕様を定義するための仕様化の技法です。
USDMの技法は、表記法プラス考え方で構成されており、要求仕様記述のマナーにあたります。
USDMの提唱者
USDMは、株式会社システムクリエイツの清水吉男氏が提唱しました。
システムの要求と仕様をなかなかうまく定義できない現場向けソリューションとして提唱しています。
いくつかの団体が標準もしくは推奨の要求定義方法として採用しており、信頼と実績があります。
それでは、USDMで作成した要求仕様書を見てみましょう。
記述サンプル
これが実際のUSDM要求仕様書です。
※引用 Eureka Box(ユーリカボックス)USDM記述サンプル
https://member.eureka-box.com/products/usdm/categories/4463250/posts/9854671
上位の要求から下位の要求へ、そして下位の要求から仕様へと、要求から仕様を導出し、階層的に整理している点に、特徴があります。
USDMの記述マナーの最大のポイントは、要求の記述から仕様を導き出すことです。
要求の記述を目的語と動詞で正確に記述することで、その目的語と動詞から仕様が導出できます。
基本的に文章で正確に記述します。
しかし図やグラフ、絵を入れたほうが分かりやすく、正確に記述できる場合は取り入れます。
最初は慣れないかもしれませんが、しっかり記述すると、今まで「書かずに良く出来たな」と思うようになります。
Eureka Boxは厚生労働省が実施している助成金、人材開発支援助成金の適用対象となります。
USDMのメリット
USDMによって、モレやミス、勘違いに気づき、手戻りを防止できるというメリットがあります。
それだけではありません。エンジニアにもメリットがあります。
ここからは、さまざまなUSDMのメリットを紹介します。
USDMで解決できる問題
USDMは、要求から仕様を引き出す形で階層化して整理している点が特徴です。
要求と仕様を整理すると、開発の中で生じる問題を解決できます。
- 仕様が漏れていて、手戻りが発生してしまった…
- 思っていたものと違う!
- こんな機能は要求していない!
- 詳細仕様やソースコードしかなく、何がしたいかわからない…
- なぜこの仕様になったのかわからない…
これらを解決できるのがUSDMです。
USDMのさらなるメリット
要求仕様の整理にUSDMを使うと、
- 別々の文書になっていた要求や仕様を1つの文書にまとめられるので、論理展開が明確になる
- Excelで作れてIDも付与でき、既存成果物との関連付けもできるので管理がしやすい
- 規定のテンプレートと記述マナーがあるので、作り手の間での書き方が揃う
というメリットがあります。それにより理解が進み、勘違いやモレに気づきやすくなることで、手戻りを防止できるようになります。
ここからはそれぞれのメリットをさらに詳しく見ていきましょう。
①要求~仕様の論理展開が明確になる
※引用 Eureka Box(ユーリカボックス)USDMのメリット
https://member.eureka-box.com/products/usdm/categories/4463250/posts/9854672
開発者の頭の中にしかなかったり、バラバラの文書になっていた要求や仕様の内容が、USDMならひとつの文書で論理的に整理でき、システムの概要がひとめでわかるようになります。
②管理しやすい
※引用 Eureka Box(ユーリカボックス)USDMのメリット
https://member.eureka-box.com/products/usdm/categories/4463250/posts/9854672
USDMはExcelで作れるので、誰でもすぐ出来て、誰とでも環境を選ばず共有できます。
また、個々の要求仕様がセルで区切られていて、IDも付与できるので、レビューでの指摘やメンテナンスがしやすくなります。
さらに、右側の列は、他の成果物との関連付けに使えるので、導入が容易です。
③書き方が揃う
※引用 Eureka Box(ユーリカボックス)USDMのメリット
https://member.eureka-box.com/products/usdm/categories/4463250/posts/9854672
USDMは記述マナーとしてテンプレートが統一されているため、書き方が揃います。
それだけでなく、表現や分割の方針に明確な考え方、マナーがあるので、誰が書いても正確な要求仕様書が作成できるメリットがあります。
しかし、テンプレートだけが独り歩きし、テンプレートに文字を埋めるだけの導入では効果は上がりません。記述マナーも一緒に導入するようにしましょう。
注意点
要求仕様の記述に慣れていないときは、記述に時間がかかり、「書くのが大変、書くより動かして確認したほうが早い」といった声も耳にすることがあります。
確かに慣れるまでは時間がかかるかもしれませんが、USDMのマナーに沿ってしっかり文章で記述することで、あいまいな部分に気づくことができます。
そのあいまいな部分を要求元に確認して作り込んだ方が結果的に価値あるものを早くリリースできます。
もちろん、実際に動いているのを見たほうが早くフィードバックが得られるかもしれませんが、その場合でも事前に確認することで、新しい価値や要求元も気づいていなかった点の価値に対するフィードバックが得られます。
USDMのようなしっかりとした記述による事前の確認がないと「要求したものと違う」といった作り直しが発生し、負のループに陥る可能性があります。
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まとめ
本記事ではUSDMについての要求と仕様についてを詳しく解説しました。また、下記のようなメリットが多数存在します。
USDMで要求と仕様を整理することで、仕様モレや勘違い、仕様の「なぜ」が解決できます。
別々の文書になっていた要求や仕様を1つの文書にまとめられるので、論理展開が明確になります。
Excelで作れてIDも付与でき、既存成果物との関連付けもできるので管理がしやすくなります。
規定のテンプレートと記述ルールがあるので、誰が書いても書き方が揃います。
このようなメリットがあるUSDMを是非活用していただきたい為、少しでもご不明な点がありましたら、エクスモーションへお問い合わせください。