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システムメーカーへの大転換を目指し、自社にとっての「ソフトウェアファースト人財」を育成|愛三工業株式会社様

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システムメーカーへの大転換を目指し、自社にとっての「ソフトウェアファースト人財」を育成|愛三工業株式会社様
  • 大川 直哉 様(電動システム開発部 主幹)・・・・・ 写真右
  • 山本 久史 様(電動システム開発部 ソフトウェアファースト室 室長)・・・・・ 写真左

※コロナ禍のインタビューのためオンラインにてご協力いただきました。

課題

これまで、エンジン関連製品のサプライヤとしてメカ製品を中心に事業を展開してきたが、昨今のカーボンニュートラル,電動化,CASE の技術動向のなか、ソフト人財の確保が急務となっている。

施策

実施プラン:Eureka Boxスタンダード+人財育成支援

愛三工業様では、同育成プロジェクトとして、関連した各分野の教育ノウハウを持った各社のコンテンツで対象人財の教育を実施。今回eXmotionは、ソフトウェア上流工程に関わる開発技術スキルの教育を担当。

効果

スキマ時間を有効に活用でき、自分のペースで繰り返し学習が可能なため、スキルの底上げに成功。

社を挙げた「ソフトウェアファースト人財」育成プロジェクトが実現した道程とは

社を挙げた「ソフトウェアファースト人財」育成プロジェクト

―今回、愛三工業様では、ソフトウェアファースト人財の育成と大きなプロジェクトを実施されていますが、その実施の背景や目指すところはどのようなものだったのでしょうか?

[大川様]
メカ人財からソフトウェア人財へ移行を図る際、いわゆるソフトハウスになりたいということではなく、「愛三工業」の成り立ち、会社の立ち位置、サプライヤーとして、どういう人財が必要なのかというところを重視し、進めていました。

「愛三工業の中のソフトウェア人財」という人財像をまず定義し、そこに向かって育成カリキュラムを組み、実績を作っていく、ということを弊社福森(電動システム開発本部・本部長)とも話しており、進め方のキーポイントとしていました。

単に実装技術を身につけるということだけではなく、上位システム、他のシステムとの繋がりや意味合いを理解できるソフトウェア人財というのが、愛三工業が従来から目指している人財だと考えています。

そうした人財を育成することが、他社との差別化につながり、やる意味がある、と認識していたことが発端にありますので、そこだけはしっかりと持ち続け、ブレないようにしたいと思っています。

先ほど申し上げた背景や目指すところについては、しっかり最初に決めてそこに向かわないと、単なる寄せ集めの教育になってしまうという懸念がありました。

そこがブレないようしっかり定義し、目標を決め、そこから逆算して必要なカリキュラムを考えたり、関係各所からアドバイスを貰ったりすることで、形にしていきました。

愛三工業株式会社 大川 直哉 様(電動システム開発部 主幹)
大川様
―自社が求める人財像に向けて育成実施するにあたり、対象人財を集める際にコンテンツやカリキュラムについての工夫などはありましたか?

[大川様]
基礎の基礎として組み込みやマイコン機能の学習を入れますが、モデルベースやシミュレーションなど現在のトレンドの開発手法も学習して欲しい希望もありました。

ただ、いきなりトレンドを追いかけて、モデルベースのみが出来る人を育てる、としてしまうと、本質を理解していない人財になってしまう恐れがありました。

そのため、実践力は実開発を通したOJTで修得するものとして、そこに必要な基礎知識を身に付けられると判断したものを厳選しました。

とはいえ、手探りの面もありますので、第2期育成については、第1期での結果を踏まえて更に改善していく予定です。

―御社の福森様(電動システム開発本部・本部長)も『これからは単なる部品の提供ではなく、ソフトウェアとハードウェアを組み込んだシステムとして提供することで価値を出していく』と別の機会に仰っていましたが、そのあたりも関係しているのでしょうか?

[山本様]
そこは以前から会社として「システムメーカーになるぞ」というのが号令としてありました。
部品単体だけだと簡単にもっと安価なものに変えられてしまう、ということがあります。
システムで提供できるほうが強いので、部品メーカーとしてもやはりそこを目指さないといけないと考えました。

愛三工業株式会社 山本 久史 様(電動システム開発部 ソフト開発室 室長)
山本様


カリキュラム構成や受講者のグルーピングを工夫し、学習効率を向上

―「まずプログラムからやる」、「プログラミングやりながら要求も」など、学習の順番や学習効率を考慮されたところはありますか?

[大川様]
実習も含めた集合教育については、今回のプロジェクトで各教育プログラムを提供してくださる各社へお願いし、できるだけ講師に現場に来て頂くようにして、まずは基本から寄り添って教育して頂くことにはこだわりました。

場合によってはリモート実施を希望される会社もおられましたが、色々比較した上でできるだけ現場に来て頂けるところを選定しました。

ただ、そこだけを重視して組み立てるとバランスが悪くなり、講師のペースに引っ張られ過ぎてついていけない、というようなことがどうしても起きてしまうので、講義と講義の合間にeラーニングを組み合わせて、与えられた環境で集中して実施するものと、受講者自身のペースで実施するものと、緩急取り交ぜて学習できるよう、意識して組み立てを工夫したところはあります。

―実際に受講されている方の反応はいかがでしたか?

[大川様]
賛否両論でした。『手取り足取り全部教えてほしい』タイプの人と、『自分で調べて進めたい』タイプの人など、各人の学習意向や元々持っていたスキルレベルによって回答が違ったと思います。

今回の育成では、あえてレベル分けに応じた育成をする形を取りませんでした。

というのは、各部署から意欲のある若手を受けいれて、まずはフラットにスタートしようという主旨だったためです。

そのため、自分で開拓していけるようなタイプのメンバーには好評な傾向はあったかと思います。

 

[山本様]
育成対象メンバー以外に、実際にソフトウェア開発に携わっているメンバーも参加していましたが、ソフトウェアを一から学んだわけではなく、『回路の担当だったが、いきなりソフトウェアの担当に』というような、基礎が身についていないメンバーもいたため、この機会に一緒に受けてもらいました。

また、先ほどの教育の順番の話をすると、例えばツールのライセンス数が限られているなどの都合上、講座を前半・後半2つのグループに分けました。

一方のグループはc言語基礎から順番に実施して、全体的に同じ水準で進行しましたが、もう一方はいきなりMBDやMATLABのような上流工程側からの実施となったのですが、付いて行きにくい、理解が難しかった、というアンケート回答もありました。

 

[大川様]
それは教育の順番、元々のスタート時点でのスキルによるものだった印象です。

それもあり、メンバー間の教え合いや先輩のサポートを考慮した4~5人の少人数のグルーピング、『ブラザー・シスター制度』も実施しました。

グルーピングの際は、事前アンケートで得ていた出身学科や、業務経験などの情報を基に、各グループメンバーのスキルや経験が平均化するように配慮しました。

また、グループ内の先輩・後輩間で助け合いや相談の機会を生み、教育活動を通じてコミュニケーションを深められるよう工夫もしました。

3ヵ月の教育カリキュラムの1日のスケジュールをお話ししますと、

・・・予習、前日の積み残し部分のグループ共有と相談

その日の教育後・・・復習、当日に理解できなかった部分のグループ共有と相談

というようになっています。

教育後には、当日に理解が難しかったことを翌日までには処理して積み残さない、という考え方に基づき、既存のソフトウェア開発メンバー・先輩社員が各グループに1人付いて、その日理解したことや理解が難しかったことなどを共有して解決に導いていく、『ブラザー・シスター会』 を一日の終わりに設けました。

―例えば、c言語のカリキュラムを一通り完了するなど、大きな振り返りのタイミングでスキルチェックなどは実施されましたか?

[大川様]
はい、各基礎教育各講座の終了時にテストを実施し、各講師にメンバーの評価をしてもらい、育成状況をモニタリングしました。

―第1期は3ヵ月間、教育を受けているかと思いますが、教育実施してみての振り返りや改善点などはありますか?

[大川様]
振り返りをいま正に実施しているところで、第2期メンバーの教育へのフィードバックを考えています。

また、将来に向けて、今は全てを外部の会社様にお願いをしていますが、内製化を進めて、社内講師で実施出来るようにしたいと考えています。

Eureka Boxのようなプラットフォームについては継続するとしても、コンテンツなどの中身については、順次内製化をしていく意向です。

スキルとして身に付ける効率を考えると、実開発を通した教育にすべきとも思います。

実開発を通した教育だと、身に付くスピードが格段に違うと思っていますので...。

より早く開発実務の土俵に上がれる仕組みを目指して、今後は内製化も含め、最適な教育方法を考えていきたいです。内製するところと外製するところの見極めが今後の課題にもなっています。

 

Eureka Boxは「学んで終わり」ではなく、すぐ参照して業務に活かせる

―山本様は、教育現場サイドの責任者というお立場ですが、責任者視点でのEureka Boxの印象はいかがでしたか?

[山本様]
身に付くかどうかは、実開発で使うのが一番早いと思っています。

そのため、基礎教育の中でEureka Boxを実施する意味は大きいのですが、スキルが身に付いて使いこなせるかというところまで求めるのは正直難しいと思っています。

それは当たり前のことだと捉えていて、実開発に入った時にこうした基礎教育を受けた経験があるかないかを重視しています。

教育を受けた内容を振り返り、知識を引き出して必要な時に適切に使う、ということが出来れば、基礎教育の結果としては十分なラインだと思っています。

また、個人的な考えですけども、実務の際に知識を参照して使うことで、本格的にスキルとして身に付く機会になると思っています。

育成対象メンバー以外の使用感としては、実際のシステム・ソフトウェア開発でUSDMを使って仕様書を書くというプロセスを実施していて、書き方やルールを全く知らないに等しい状態でスタートしましたが、分類の仕方や基本的な考え方を勉強しながら仕様書を書いていき、最低限の形までは出来るようになったかと思います。

以降はレビューなどを重ねて実践していくことでレベルアップしていくものだという印象があります。

また、Eureka Boxはいわゆるイーラーニングのように「学んで終わり」ではなく、実開発の中で分からないことが出てきた時に、すぐ参照することが出来て、考え方や進め方を逐次確認しながら業務に活かせるというのは一番メリットだと思います。 実際、開発の中で仕様書を書いているメンバーなどは頻繁に参照していると思います。

 

今後は、各開発工程に実践の評価基準を設定しトレースも

―Eureka Boxでは今秋より、『EBSS(Eureka Box Skill Standard)』という、スキルレベル定義・認定の人財育成フレームの新機能が追加されます。
こうした機能は、今回のプロジェクトにとってもプラスになるでしょうか?

[大川様]
はい、今回ひとりひとりのスキルレベル・習得状況を見える化する、定量化して評価できるようにする、ということは必須事項としていましたので、こうした機能は利用者からすると嬉しいです。

ただ、教育コンテンツの評価基準、OJTなど実践の評価基準をすべて同列に、同じ指標でできるかというと、ちょっと難しいのかなと思います。

現状、社外のコンテンツの組合せて基礎教育カリキュラムとしていますが、評価は各コンテンツの基準にて実施いただいています。それは当社の基準や指標に合わせて評価をお願いすると、適正な評価結果が得られない可能性があるからです。

対して基礎教育後の実開発を通したOJTでは、長期的に対象者のスキルがトレースできるような評価基準を各開発工程に設定して測っていこうとしています。

―最後に、今後Eureka Boxに期待することはありますか?

[大川様]
具体的な製品開発工程を体験できるようなコンテンツ掲載でしょうか。

例えば自分たちが関わっているポンプのモーター開発など、受講者側のイメージが湧きやすいものがあれば良いと思います。

さらに理想としてですが、自社内で手本にするための実例集として、そうしたコンテンツを自社でナレッジとして作成・蓄積して有効活用できるような仕組みが出来ると嬉しいです。

―本日はありがとうございました。
社を挙げた「ソフトウェアファースト人財」育成プロジェクトが実現した道程とは
愛三工業株式会社
所在地
(本社)
〒474-8588 愛知県大府市共和町一丁目1番地の1
資本金 107億08百万円
設立 1938年(昭和13年)12月
事業内容 自動車部品の製造・販売
URL https://www.aisan-ind.co.jp/
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