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第4回 MBD(モデルベース開発)Simulinkのブロック

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第4回 MBD(モデルベース開発)Simulinkのブロック

第4回 MBD【モデルベース開発】解説 コラム

第4回 MBD(モデルベース開発)コラム、今回は、Simulinkモデルの開発初級者が最初に押さえておくべきSimulinkブロックと、そのブロックを使ってプログラムを作成する例を紹介します。

この連載コラムでは、Simulink を使った MBD の基礎的な内容を数回に分けてわかりやすくお伝えします。



Simulinkモデルの例

MBD(モデルベース開発)Simulinkのモデル例
※引用 Eureka Box(ユーリカボックス)Simulinkのブロック
https://member.eureka-box.com/products/10/categories/2150049210/posts/2158181906

早速、簡単なSimulinkモデルの例を見てみましょう。この図は、オンにすると1ずつインクリメントするカウンタを表しています。

Simulinkでは、プログラムをブロック線図モデルとして作成します。つまり、様々な機能を持つブロックをグラフィカルに貼り付け、つなぎ合わせることで、モデル、すなわちプログラムを作成します。

では、このような図を作成するためにSimulinkで提供されているブロックについて、よく使用するものをご紹介します。



構造およびデータに関するブロック(1)

MBD(モデルベース開発)構造およびデータに関するブロック
※引用 Eureka Box(ユーリカボックス)Simulinkのブロック
https://member.eureka-box.com/products/10/categories/2150049210/posts/2158181906

まず、モデルの構造およびデータ(信号)の生成・保持に関連するブロックです。

Subsystemは、複数のブロックをグルーピングして1つの機能単位を作るためのブロックです。C言語における"関数"を作るためのブロックと捉えるとよいでしょう。ネストさせることができるため、モデルをSubsystemの階層構造として整理することができます。

InportはSubsystem(あるいはモデル)が入力信号を受け取る口(ポート)、OutportはSubsystem(あるいはモデル)からの出力信号を流す口(ポート)です。Subsystemを関数とすると、それぞれ入出力の引数に相当します。たとえば、先ほどのカウンタをサブシステム化し、入力信号、Subsystem、出力信号をつないだのが使用例の図です。

Constantは、定数値を出力するブロックです。たとえば、使用例の図の入力信号の代わりにConstantをつなぐと、定数値を渡すことができます。



構造およびデータに関するブロック(2)

MBD(モデルベース開発)構造およびデータに関するブロック
※引用 Eureka Box(ユーリカボックス)Simulinkのブロック
https://member.eureka-box.com/products/10/categories/2150049210/posts/2158181906

もう1つ、Unit Delayというブロックもあります。

Simulinkモデルは時間駆動で動作します。つまり、「入力値の読み込み⇒処理⇒出力」というサイクルをサンプル時間の周期で繰り返します。そのため、モデル中の各サブシステムの処理も、サンプル時間毎に実行されることになります。しかし、サブシステムの中でサンプル時間をまたいで値を保持したい、つまり1サンプル前の値を使用したいことはよくあります。

そのような場合に使うのがUnit Delayです。Unit Delayは1サンプル前に記憶した値を出力します。たとえば、入力値を順次足し合わせていくような場合に使用できます。C言語における"static変数"を作るためのブロックと捉えるとよいでしょう。



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演算に関するブロック(1)

MBD(モデルベース開発)演算に関するブロック
※引用 Eureka Box(ユーリカボックス)Simulinkのブロック
https://member.eureka-box.com/products/10/categories/2150049210/posts/2158181906

次に、演算に関するブロックです。

加算・減算には、Add、Subtract、Sumを使用します。いずれも基本的には同じもので、ブロックパラメータでアイコンの形状や符号を設定します。

ProductとDivideは乗算と除算です。同じように、ブロックパラメータで乗算か除算かを切り替えます。

Relational Operatorは関係演算(比較演算)を行うブロックです。ブロックパラメータで関係演算子を指定します。

 


演算に関するブロック(2)

MBD(モデルベース開発)演算に関するブロック
※引用 Eureka Box(ユーリカボックス)Simulinkのブロック
https://member.eureka-box.com/products/10/categories/2150049210/posts/2158181906

Logical Operatorは、入力された信号に対する論理演算を実行します。ブロックパラメータでANDやORなどの演算子を選択します。

Switchは、条件に応じて、2つの入力のうちどちらを出力するかを決定するブロックです。第2入力に指定された条件判定の結果が、真の場合には第1入力を、偽の場合には第3入力を出力します。Simulinkでif-then-elseのロジックを記述する際に、最もよく使用されるブロックです。



Lookup Table

MBD(モデルベース開発)Lookup Table
※引用 Eureka Box(ユーリカボックス)Simulinkのブロック
https://member.eureka-box.com/products/10/categories/2150049210/posts/2158181906

Lookup Tableは、あらかじめ定義しておいた「表」に基づいて、入力値に対応する出力値を演算するブロックです。入力値と出力値の関係が、単純な計算式では近似できない(精度がとれない)場合や、その関係に適合(調整)の余地を残しておきたい場合などに利用されます。下に示した図は1-Dの例ですが、ブロックプロパティで青い丸に相当する値の表を設定し、さらに、丸の間の青い線の部分と、丸の外側、両端の点線部分をどう出力するかの手法も指定します。



モデルの例

MBD(モデルベース開発)Simulinkのモデル例
※引用 Eureka Box(ユーリカボックス)Simulinkのブロック
https://member.eureka-box.com/products/10/categories/2150049210/posts/2158181906

では、最初に紹介したSimulinkモデルをもう一度見てみましょう。これはカウンタを表すものでした。

カウンタがオンの場合、つまりenableが真の場合には、Switchの第1入力が出力されます。出力された値はUnit Delayによって保持され、次のサイクルで1と足し合わされます。カウンタがオフになると、Switchの第3入力が出力され、カウンタはリセットされます。

Simulinkでは、このようにプログラムを作成します。



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まとめ

Simulinkでは、プログラムをブロック線図モデルとして作成します。つまり、さまざまな機能を持つブロックをグラフィカルに貼り付け、つなぎ合わせることで、プログラムとなるモデルを作成します。

そして、Simulinkは優に200種類を超えるブロックを標準で提供しています。提供されるブロックの種類も、四則演算、比較演算、論理演算といったプリミティブなものから、伝達関数、PIDコントローラ、アナログ・デジタルフィルタといった高機能なものまで、非常に豊富です。

そのような豊富なブロックの中から自身の用途に合致したブロックを見つけ出すのは大変と思われるかも知れませんが、実際にはコントローラ用のモデル、それもオートコードを前提としたモデルを作成する際に使用されるブロックの種類は、さほど多くはありません。

本コンテンツでは、コントローラ用のモデルを作成する、あるいは読む上で、最低限知っておくべきブロックを紹介しました。

株式会社エクスモーション エグゼクティブコンサルタント 小浜 宗隆

執筆者プロフィール

株式会社エクスモーション エグゼクティブコンサルタント

小浜 宗隆

 

専門分野:

医療機器、自動車、MBD、USDM、解説書作成



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