第2回 多くの組み込みシステムに共通する特性について

【第2回 組み込みシステム コラム】
このコラムでは、組み込みシステムとは何か?を数回に分けて分かりやすく説明していきます。今回は組み込みシステムの特性に関して説明します。
組み込みシステムの多様性

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組み込みシステムは、制御対象となる機械や機器が変化に富んでいることを反映して多種多様です。自動車やFA機器の制御システムのように、高いリアルタイム性と信頼性の保証が必須の要件という場合もありますし、携帯電話や家電製品のように、コストダウンの実現が重要な要件という場合もあります。
規模の大小や性能の高低に関する差異はあるとしても、一定の標準的な規格内に収まっていることを前提とする汎用システムとは対照的です。それでは、組み込みシステムに共通する特性にはどんなものがあるのでしょうか?
このあと、詳しく見て行くことにしましょう。
厳しいリソース制約

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組み込みシステムでは、多くの場合、厳しいリソース制約が課されます。大量生産される製品では、コストが非常に重要なファクターとなるため、制御システムを安価なプロセッサと必要最小限のメモリで構成する必要があります。また、一部の製品では、低消費電力化、小型化、軽量化などの要求によりあえて動作クロック周波数が低いプロセッサを使用したり、メモリ容量を少なく抑えることを余儀なくされることもあります。
組み込みシステムの開発では、限られたリソースを効率的に使用するテクニックとスキルが要求されます。
Eureka Boxは厚生労働省が実施している助成金、人材開発支援助成金の適用対象となります。
リアルタイム性

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多くの組み込みシステムは、制御の対象となる機械や機器によって決められた時間的な制約条件を常に満たして動作する必要があります。このようにシステムが要求するデッドラインを常時保証しながら動作する性質のことをリアルタイム性と呼びます。ここで、リアルタイム性は、単に計算処理が速いとかレスポンス時間が短いということではないことに注意しましょう。
非リアルタイム・システムでは、タスクの実行中にバックグラウンドの処理が重なると、当初の見込みよりも実行時間が増大して、タスクのデッドラインを超えてしまうようなことが起こります。WindowsやmacOSなどの汎用OSが搭載されたパソコンを使用していて、同じような経験をされた方も多いことでしょう。このように、タスクのデッドラインを保証できない可能性のあるシステムは、どんなに基本性能が優れていたとしても、リアルタイム性があると言うことはできません。
一方、リアルタイム・システムではタスクの実行中にいかなるバックグラウンドの処理が重なっても、優先度などによる実行順序の調整機能が働いて、常にタスクのデッドラインが守られるようになっています。このように、タスクのデッドラインを常時保証可能なシステムはリアルタイム性があると言うことができます。
組み込みシステムの開発ではシステムが求めるリアルタイム性を保証するためのテクニックやスキルが要求されます。
高い信頼性

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組み込みシステムは、多種多様なニーズへ対応するために複雑化、高度化していて利用者が安心して高度なサービスや機能を利用できるようにするために高い信頼性の確保が求められています。
例えば、近年、組み込みシステムにおいても、不具合、ウィルス、不正アクセス、大規模システムダウンなどユーザの安心や安全を脅かす様々な問題が急激に顕在化・増大化していて、それらへの根本的な対応が急務となっています。信頼性を確保する方法としては、テスティングや品質管理によって問題の発生を未然に防ぐフォールト・アボイダンス以外に問題が発生した際にシステムが完全に停止してしまうことを回避するフォールト・トレランス、フェール・ソフト、フェール・セーフ、フール・プルーフなどがあります。
組み込みシステムの開発では、ユーザが求める高い信頼性を確保するためのテクニックやスキルが要求されます。
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まとめ

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多くの組み込みシステムに共通する特性としては、厳しいリソース制約、リアルタイム性、高い信頼性が挙げられます。
これらの特性に対応するため、組み込みシステムの開発では、特有の高度なスキルとテクニックが要求されます。
次回のコラムは「組み込みソフトウェアの開発の特徴」について解説していきます。お楽しみに。
執筆・文責:株式会社エクスモーション
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