業界別、ソフトウェアエンジニアに人気の学習コンテンツ
ソフトウェア開発の全体像と、最先端の技術をオンラインで習得できる「Eureka Box(ユーリカボックス)」。自動車業界をはじめ、日本のトップ企業を支えるソフトウェア開発現場の技術やノウハウを活用し、エンジニアのレベルアップを図れる実践的オンライン学習です。
最大の強みは、運営企業であるエクスモーションがソフトウェア開発現場のコンサルティングを通じて得たノウハウを駆使して構築した実践的なコンテンツ。動画を活用したわかりやすい構成で、要件定義(USDM)、モデルベース開発(MBD)、システムズエンジニアリング、上流工程のプロセスなどの知識を得られるだけでなく、自らのスキルレベルを確認できる演習系のコンテンツも充実しています。
さて、今回は、Eureka Boxで人気の学習コンテンツを業界別に紹介します。自動車業界や電気製品メーカーなどの、開発未経験の新人から、スペシャリストをめざす中堅社員、最新技術を押さえたいベテランの技術者まで、ソフトウェア開発に携わるエンジニアのみなさんは、どんなことを学んでいるのでしょうか?
※ランキングは Eureka Box学習コンテンツの、2023年度内における以下の項目で算出しています
・学習時間(繰り返し以外)・PV数(繰り返し以外)
・学習時間(繰り返し)・PV数(繰り返し)
目次
- 要件定義(USDM)や要求開発の全体像がわかるコンテンツが人気
- ビギナーの研修中心と中堅のスキルアップで変わる人気ランキング
- 基礎知識の習得から実践まで。Eureka Boxの全体像
- 新人教育がスムーズになるコンテンツをリリース
【解説】 ●要件定義書とは・・・システム側の視点からの仕様書であり、システムの機能や実装方法をまとめたもの ●要求仕様書とは・・・クライアント側の視点からの仕様書であり、クライアントの要求内容を示したもの |
開発プロセスの全体像と要求仕様の書き方がわかるコンテンツが人気
それでは、Eureka Boxのコンテンツ設計・構築を手がけてきたコンサルタントの斎藤賢一さんとともに、エンジニアの利用状況を見ていきましょう。自動車、電子機器、医療機器など、業界によって利用数が多いコンテンツは変わってきます。
斎藤 賢一 プロフィール
株式会社エクスモーション エグゼクティブコンサルタント
大手メーカにて、構造化手法、オブジェクト指向技術を適用した組込ソフトウェアの開発、上流工程を中心としたソフトウェア改革、プロセス・品質改善に携わる。現在は幅広い業界で、システム・ソフトウェア開発・要件定義・派生開発の支援を行う他、講演会などへの登壇も積極的に行い、開発現場の改善とその波及活動に努める。
<主な社外活動>
派生開発推進協議会(AFFORDD) 代表
まずは自動車業界。1位から順に並べると、「開発プロセス (概要)」「MBD の意義・効能」「USDMとは」「はじめてのSPL開発(SPLE)」「フィーチャモデル」となっています。
業界別 人気学習コンテンツ ランキング 自動車業界 🚙 |
|
斎藤 自動車業界の企業は、完成車メーカー、部品メーカー があるのですが、部品メーカーの方に実際に手を動かすエンジニアが多いという実感があります。部品メーカーの方に聞くと、まさに図書館のように知りたいことを調べるために利用することが多いようで、想定していた使い方だなと思います。
要件定義(USDM)の人気については、現場の環境の変化が大きいと見ているそうです。
斎藤 完成車メーカーから部品メーカーにこういうものを作ってほしいという話があって、それに沿って作っていた時代がありました。ところが近年、ソフトウェアの需要が高まってきて、完成車メーカーの要求が具体的ではなくなってきたんです。そうなると、部品メーカー側がきちんと要求を取りにいかなくてはなりません。
今までは請負だった企業が、ソフトウェアが中心になると要求を提案することを求められるようになっています。提案するためには、要求仕様をきちんと書けないといけません。
完成車メーカーのオーダーに対して、こういうことですよねと確認するためにUSDMが必要となり、要求仕様を書いたらそれにマッチしたアーキテクチャで設計して作っていきます。バリエーションが多いので、SPLで効率化を図り、さらにその要求を満たすモデルを使ってMBDでシミュレーションするといったプロセスがあり、それに応じて段階的に学ぶ傾向が見て取れますね。
ソフトウェアの需要が急激に高まった自動車業界は、人材の確保と育成が大きな課題になっています。ハードウェアの技術者をソフトウェアに転身させる動きも活発化しており、社内のリスキリングの教材として利用する企業も増えているようです。
テストを実施するサービス業の企業は、「開発プロセス (概要)」「MBD の意義・効能」「USDMとは」「USDMにおける要求と仕様の定義・関係」「USDMのメリット」が上位です。斎藤さんは、「要求仕様がきちんと書けてないと、テストできないという状況があり、まずはUSDMを学ぼうというニーズが生じている」と指摘しています。
業界別 人気学習コンテンツ ランキング テスト実施サービス業 🖊 |
|
集合研修、組織の技術レベルの底上げなど多様なニーズ
「自動車に限らず、ソフトウェア開発のSIerも、大枠のオーダーを受けて要求仕様から設計までの提案が重要になっています」という斎藤さん。USDMの要求の書き方、説明の書き方、要求の役割、作成の流れが人気になっています。
電気製品メーカーは、「USDMの要求開発の全体像」「USDMとは」「MBD の意義・効能」「システムライフサイクル」「はじめてのSPL開発(SPLE)」が上位。実務に必要なものを学ぶサプライヤーに対して、大規模なメーカーは全社教育の一環として活用するケースがあり、「事業に関連する領域の全体像を満遍なく学ばせている可能性がある」そうです。
業界別 人気学習コンテンツ ランキング 電気製品メーカー ⚡ |
|
医療機器業界は、SPL学習の「コア資産とフィーチャモデルを対応付ける」や、「システムズエンジニアリングの流れ」が上位に入っています。
業界別 人気学習コンテンツ ランキング 医療機器業界 🏥 |
|
斎藤 医療機器は、安全性に対する要求が厳しい業界なので、発注時の要求仕様はしっかりしています。その後の設計・開発に入ったときに、個別に作るよりはプロダクトラインみたいな形でバリエーションを効率よく使う必要があるので、SPLやシステムエンジニアリングが多く見られているのかなと思います。
建機の業界も、SPLとシステムエンジニアリングがよく利用されているのですが、こちらは新しいものを作るより従来モデルの製造の効率化を重視する傾向があるとのこと。システム設計をしっかりやれば共通化しやすくなるため、SPLを集中して学ぼうとする技術者がいるようです。
組織横断の集合研修、実務に即した知識・技術の習得、ソフトウェア開発に携わる人材の育成、システム設計・開発の手法の改善や見直しなど、企業によってEureka Boxの活用法はさまざまです。
斎藤 ソフトウェアのニーズが拡大するとともに、技術の進化が加速しているので、MBDでやっていこうと決めたら積極的に学んでほしいですね。最近はアジャイル開発が増えており、とりあえず作ってみたという話もよく聞きますが、その手前で要求仕様がしっかりしていないと勝てない状況になりつつあります。USDMはしっかり押さえてもらえればと思います。
基礎知識の習得から実践まで。Eureka Boxの全体像
最後に、、「Eureka Box(ユーリカボックス)」の全体像について解説しましょう。技術トレンドの変化が激しいソフトウェア業界だけに、エンジニアの学習プラットフォームはコンテンツの鮮度が重要です。最新の情報を学べるのは、組込みソフトウェアの開発現場で改善を支援しているエクスモーションがコンテンツをアップデートしているから。エンジニアの新卒・中途入社時の導入教育や、現場での育成に課題を抱える多くの企業に活用していただいています。
学習系コンテンツは「要件定義(USDM)」「モデルベース開発(MBD)」「システムズエンジニアリング」「C++リファクタリング学習」「ソフトウェアプロダクトライン(SPL)」「派生開発(XDDP)」の6つのテーマに分かれています。
それぞれのなかに、基礎知識を押さえる「ビギナー」、自ら実施できるようになる「ベーシック」、現場で使えるノウハウまでカバーできる「アドバンスト」という3つのレベルがあり、理解度に合わせて適切な内容を選べるようになっています。
学習系コンテンツで学んだ後、自らの学習の成果を確認する演習系コンテンツは、「要件定義(USDM)」「モデルベース開発(MBD)」「ソフトウェアプロダクトライン(SPL)」「C++リファクタリング」の4テーマ。実際のプロジェクトで使えるレベルの課題をクリアすることによって、学習した知識や技術を業務で活用できるようになります。
Eureka Boxは厚生労働省が実施している助成金、人材開発支援助成金の適用対象となります。
現場で抱える課題を解決したいエンジニア向けには、開発現場の事例やテンプレートなどを参照できるリファレンス系コンテンツを用意。業務で使えるシートなどを集約したツール系コンテンツや、コンサルタントにチャットで相談できるコミュニケーションスペース、ディープラーニング、エッジAI、アジャイル開発などの最新技術解説もあり、エンジニアのニーズが高い情報とコンテンツを網羅しています。
新人教育がスムーズになるコンテンツをリリース
Eureka Boxは、5月に新たなコンテンツをリリースしています。「新人向けソフトウェア開発クエスト」は、ロールプレイングゲームを楽しむ感覚で学習できる開発ビギナー向けのパッケージ。「何からどう学べばいいかわからない」という新入社員や開発未経験者が迷わずにすむよう、システムとソフトウェアの要件定義から設計までの全体像と実務スキルを学べるようにしています。
ロールプレイングゲームと同様に、プログラムを完了するたびにアイテムが手に入るなど、楽しみながら知識・スキルを習得できるように工夫されています。研修担当者は、研修コンテンツを自ら設計する必要なく、新人や若手エンジニアの育成を進めることができます。
今回は、Eureka Boxの全体像と人気コンテンツを紹介しました。組織の人材育成の課題や、学習を促したいターゲットに合わせて、さまざまなプランを組めると好評をいただいています。興味がある方は、公式サイトの「ユーリカボックスとは」「プラン・料金」などで詳細をご確認ください。