【第2回 ドメインモデリング コラム】

このコラムでは、主に組込みシステムのソフトウェア開発において、非常に重要となる「ドメインモデリング」について紹介していきます。

今回はいくつかの演習を通じて、製造業のソフトウェア開発が抱える問題について考えてみます。

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迷路その1

まず、前回のおさらいです。
製造業のソフトウェア開発スタイルには、ボトムアップかつ力ずくで試行錯誤を重ねて開発したあと、ソースコードが仕様となり、その結果、検証作業に膨大な工数が取られる、という特徴がありました。本当にそれでいいのか、演習を通じて考えてみます。
最初の演習では、皆さんに迷路を解いていただきます。迷路は大きな縮尺で書かれています。では始めましょう。

1枚目。右はB-1に、下はA-2につながっています。昔の道路地図を思い出しますね。

2枚目。A-2です。出口がありました。

そしてA-3。

B-1。

B-2。

B-3。

C-1。

C-2。

そして最後のC-3。入口がありました。

考えてみよう

さて、いったんここで、迷路を解いてみましょう。
解けたでしょうか? これって、何かに似ていませんか?

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考察

こちらが9枚の図をはぎ合わせた迷路です。この状態なら簡単に解けますね。しかし、バラバラの状態ではとても解けなかったと思います。
このように、細分化されたものだけで全体を考えるのは「超」困難です。ソフトウェア開発でも同じことが起きていないでしょうか。ファイルに断片化されたソースコードを前に、全体像をつかめず苦労しているのではありませんか。全体を考えるには縮尺を変えて「俯瞰する」ことが大切です。そのために、ソフトウェア全体を可視化する技術を使用します。
今回のキーワードは「俯瞰する」です。これを忘れないようにしながら、次の演習に進みましょう。

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迷路その2 巨大迷路

前回よりずっと大きな迷路です。画像を見て解いてみてください。

考えてみよう

さて、解けたでしょうか?
時間はどのくらいかかりましたか?
何も考えずに、ひたすら力ずくで解こうとしていませんか?

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考察

答えはこのとおりです。
迷路探索の「左手法」を、「ペイント」を使うことで簡単に実現できます。「ペイント」を使って、入口の左の壁にペンキを流し込むと、繋がっているところに瞬時に色が付き、この色を辿っていくと出口までの経路になります。
力ずくの試行錯誤で解こうとしても時間ばかりかかって大変ですが、コンピュータにやらせれば瞬時に解決します。今回のキーワードは「コンピュータで効率化」でした。

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製造業のソフトウェア開発が抱える問題についての最後の演習です。

鉛筆

最後のお題は鉛筆の使い方です。5分以内で鉛筆の使い方を20通り以上考えてください。使い方には、筆記具以外の用途も含めて構いません。ただし、5分という制限時間を厳守して、必ず20通り以上挙げてください。

それでは5分間、タイマーをセットして考えてみてください。スタート！

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考察

さて、20通り出せたでしょうか。
時間がないと、つい思い付きで、先に結果を求めてしまったのではありませんか。

ボトムアップに「思い付き」で使い道を挙げていっても、なぜ、それを挙げたのかはわからないでしょう。もちろん、全ての解を網羅できている保証はありません。結局、場当たり的に「使い方」を挙げ続けるしかないのです。
今回のお題では、トップダウンのアプローチが有効です。使い方の裏側にある「なぜ」「どうして」を先に考えるのです。つまり、「使い方」の裏側にある「えんぴつの特徴」を最初にきちんと考えておけば、短時間で妥当性のある考えを数多く打ち出すことができます。

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解答例

こちらがトップダウンで考えた例です。鉛筆を、素材、形状、機能という3つの側面から捉え、素材であれば、木製、加工が容易、消耗しやすい、安価である、などの特徴ごとに鉛筆の使い方を挙げていっています。
鉛筆という対象についてあらかじめ特徴を理解し分析することで、ここでは23通りの使い方を挙げることができました。
今回のお題のキーワードは「問題の理解と分析」でした。

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